増加傾向にある内部からの告発
近年、労働基準監督署への申告(内部告発)件数は増加傾向にあります。
また、近年の申告の特徴は、従業員本人からだけではなく、その家族からの申告が増えてきていると言われています。
例えば、「ご主人が、長時間労働で毎日遅くまで残業しているのに、給与明細書を見てみたら、残業手当がほとんど支払われていない。」なんてことになれば、奥さんが労働基準監督署に申告することも十分に考えられます。
申告があると、労働基準監督署は調査(申告監督)に乗り出 すことになりますが、申告があれば必ず労働基準監督署が調査をしなければならないという法的義務は無く、申告があっても、調査に入られる会社もあれば、調査に入られない会社もあります。
また、匿名で行われた申告は、正式な申告としては受理してもらえず、一種の「情報提供」として取り扱われます。
ただし、たとえ「情報提供」であったとしても、頻繁に「情報提供」があるなど、労働基準監督署が必要と判断したときには、調査に乗り出す場合もあります。
申告監督の調査対象
申告監督は、従業員からの申告に基づく調査なので、その裏付けとなる事実確認を中心に調査が行われます。
しかし、申告監督は、申告のあった事柄だけを調査するのではありません。労働基準監督署は、申告内容の処理にとどまらず、その会社全体を見て、労働基準法違反が推測される場合には、その他の事項まで積極的に調査・指導をしてきます。
つまり、申告された1つの違反事項をきっかけに、その他の違反事項まで厳しく問われる可能性があるということです。
未払い残業代請求ビジネス
「あなたは利息を払い過ぎていませんか?」このように呼びかける弁護士、司法書士の消費者金融に対する過払い利息の返還ビジネスのPRが盛んに行われています。この過払い利息返還ビジネスの次に狙われているビジネスが、未払い残業代請求ビジネスです。
インターネットで「残業代請求」とキーワードを入れて検索してみれば分かりますが、「未払い残業代請求のご相談なら○○法律事務所へ」という広告が目に止まります。首都圏では未払い残業代請求を呼びかける電車の中刷り広告も存在するほどです。
残業代は、法律どおりに計算した場合、現実に未払い部分を抱える会社がほとんどで、従業員が数十人の会社でも、賃金請求権がある5年分(当分の間は3年分)を遡って請求された場合、数百万から数千万円の請求になるケースも少なくありません。
このような未払い残業代請求ビジネスに触発されて、従業員(又は退職した従業員)が、労働基準監督署に申告した場合、あなたの会社の経営を揺るがす問題へとなりかねません。